不妊治療を始める年齢はいつから?助成金や保険適用ルールまとめ

株式会社エイムプレイスが、杉山産婦人科 新宿 副院長の小代裕子先生に取材をさせていただきました。

この記事のエキスパート

小代裕子

不妊一般から体外受精を専門に、皆さまの不妊治療と仕事の両立のサポートをしたいと考えています。宜しくお願いいたします。

この記事では不妊症の定義から、不妊治療の流れ、助成金や保険適用など不妊治療について気になることを解説していきます。

不妊治療について色々と教えていただきましたので参考にしてください!

不妊治療とは?治療内容を解説

まずは不妊治療とはどんなものなのか不妊症の定義や不妊治療の流れやステップについて解説していきます。

女性の不妊症の定義と主な原因

不妊治療の解説をする前にまずは不妊症の定義から解説させていただきます。

不妊症は定義があって、お子さんがほしいと思って性交渉があるけども1年以上妊娠が成立しない場合をいいます。

以前は不妊期間を2年間とした時期もありましたが、最近は1年以上妊娠しない場合を不妊症と定義しています。妊娠を希望して1年以上経過した場合は、まずは専門の医療機関に受診をしていただくことをお勧めしています。

不妊症は、一般的な病気と異なり妊娠が成立しないということ以外に他に身体的に明確な症状がない場合が多いです。明確な症状がありませんので、まずは検査を行うことで原因を探すことが第一歩となります。原因を探ることで何らかの障害や疾患が明らかになることもあります。

——年齢によっても妊娠のしやすさは変わりますか?

妊娠のしやすさと年齢は関係あります。残念ながら加齢によって妊娠率は低下していきます。何故かというと、女性の原始卵胞の数は生まれてから一度も増えることはなく減少すると考えられているからです。最初は徐々に減少していきますが、妊娠しやすい年齢といわれる20歳代を過ぎて35歳を超えると、原始卵胞の減少率はぐっと加速します。

妊娠にとっては卵子の数のみならず質も問題となってきます。加齢の影響は卵子の質の低下にも影響を与え、受精卵の成長や、妊娠成立後の流産率に関係していると考えられています。


不妊症の原因となる主な因子について以下で記載します.

1.排卵因子

排卵障害の原因としてホルモンバランスが正常でない場合が挙げられます。プロラクチンという乳汁を分泌させるホルモンの分泌が増える高プロラクチン血症により卵巣機能を抑制されてしまう場合、多嚢胞性卵巣症候群による卵巣内の男性ホルモンが高まることにより排卵がうまく行われないという場合が挙げられます。その他、大きな精神的ストレスや大幅なダイエットに伴って月経不順をきたした場合にも不妊症になることがあります。

2.卵管因子

卵管内の幅が狭くなる「卵管狭窄」や卵管がつまる「卵管閉塞」のある方など、卵管の質的な機能に原因がある場合があります。また子宮内膜症により排卵が妨げられたり、卵管周囲の癒着により排卵された卵子の取り込みが妨げられたりする場合もあります。

3.子宮因子

子宮の質的な機能に原因がある場合があります。

子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腔内癒着症、中隔子宮が代表的です。

4.子宮頸管因子

子宮頸管の狭窄や頸管粘液の分泌に異常がある場合には、精子の進入を妨げてしまうため不妊の原因となります。

5.免疫因子

女性側に抗精子抗体(精子を障害する抗体)や精子不動化抗体(精子の運動を止めてしまう抗体)が見つかった場合には、精子の運動性や卵子と精子の結合、受精卵や初期胚に影響を与えます。

6.男性不妊症

精子数の減少や運動率の低下(造精機能障害)、精子は精巣で作られ精管から尿管経由で射出される過程に問題がある(精路障害)、EDや性交障害(精機能障害)があります。

7.原因不明因子

不妊症のスクリーニング検査をしても明確な原因が見つからない場合は原因不明不妊と分類されます。調査によっては不妊症の1/3を原因不明因子が占めると言われています。

——不妊になる原因を教えていただけますか?

不妊治療では、最初にスクリーニング検査を行い妊娠しない原因を探していきます。不妊の原因は男性側に半分くらい、女性側に半分くらいあるといわれています。

妊娠は精子と卵子が卵管で出会って受精をし、子宮内に着床して成立します。その過程のどこかに問題があると妊娠が成立しません。排卵因子(毎月排卵できているか)、卵管因子(卵管が閉塞していないか)、子宮因子(子宮筋腫やポリープなどの有無)、男性因子(精子の数や運動率 EDなど)など、いろんな原因が考えられます。

しかし、最初のスクリーニング検査をいろいろやってみても原因がみつからない、いわゆる「原因不明」の方も実際多くいらっしゃいます。受精障害や先ほどお話しした加齢による影響がここに含まれます。

先ほど、加齢によって卵子は数が減っていくとお話ししましたが、個人差もあります。また、子宮内膜症や卵巣の手術歴、喫煙などの生活習慣などの影響も受けるといわれています。いわゆる、ご自分の卵子の在庫状況を調べる検査にAMH(抗ミュラー管ホルモン)採血があります。通称「卵巣年齢」ともいわれるホルモン検査です。

 20歳をすぎたら、子宮頸がんの検診と、できればエコー検査で子宮筋腫や子宮内膜症のチェックをしておきましょう。そして、妊活はまだまだ先と考えていても、将来の妊娠のために、20代のうちに一度はご自分のAMH検査をうけてみることをお勧めします。仕事上のキャリア形成や結婚、出産などのライフイベントの計画にきっと役立つと思います。

不妊治療の流れ・ステップ

——不妊治療の流れを教えていただけますか?

不妊治療は、まずスクリーニング検査から開始し、検査の結果を踏まえて治療方針を提案、ご夫婦のご希望を最大限尊重しながらすすめていきます。「なるべく自然で、なるべく早い妊娠」が多くのご夫婦のご希望ですが、ご夫婦の置かれている状況は様々であるため、ご夫婦にあったオーダーメイドの治療が必要となります。

女性側のスクリーニング検査では、ホルモン採血や卵管の検査、エコー検査など様々ありますが、男性側のスクリーニング検査はまずは精液検査です。そこに何か問題があれば、男性不妊の専門外来での検査をお勧めしています。当院では男性不妊専門の生殖医療専門の泌尿器科の医師が専門の検査や治療にあたっており、万全の体制をとっています。

不妊治療でよく聞くステップアップとは、タイミング法⇒人工授精(AIH)⇒(体外受精(IVF)と治療のレベルをあげていくことをいいます。負担の少ない治療から選択していくのが原則ですが、検査結果やご希望も踏まえて、人工授精や体外受精から開始することもあります。特に、原因不明の不妊症の場合は、早めの体外受精を検討する必要があります。

晩婚、晩産の傾向をうけて、日本は世界でも有数の不妊治療(体外受精)大国となっており、最近の報告では、日本中で生まれるすべての赤ちゃんの17人に1人が体外受精で誕生しています。


具体的な治療内容は人によって異なりますが、初診からご妊娠・ご卒業までの大きな流れは以下となっています。

1.クリニックを予約

まずはご自身が通いやすいクリニックを予約します。

2.初診・検査

初診時は内診と様々な血液検査を行います。

3.再診・治療

初診の診察、検査結果をもとに治療が必要な場合は治療内容が提案されます。

4.ご妊娠・ご卒業

心拍が確認できて流産率が低下する妊娠9週頃がクリニックの卒業目安となります。

不妊治療が痛い・辛いと言われるのはどんなポイント?

——不妊治療と検索してみると「痛い」とでてきますが、どのようなときに痛みを感じることが多いですか?

痛みに関してはあまり心配しなくて大丈夫です。同じ検査でも痛みの感じ方には個人差があります。「思ったほど痛くなかった」とおっしゃる方も多いですよ。

——ネットでは「辛い」という言葉もでてきたのですが、どのような点で辛さを感じることが多いのですか?

不妊治療をネットで検索すると「つらい」「痛い」という言葉が多く、始める前に不安を覚えてしまう、というご指摘ですね。確かに、初めての検査や治療に対する不安に加え、仕事との両立の大変さや費用面での経済的な不安など、たくさんのストレスがあると思います。不妊治療はご夫婦で臨むもの、なのですが、どうしても女性側の負担が多くなってしまいますし…。

 妊娠にいたる過程は人によって全く異なります。だから、いくらネット上を探しても自分の未来の情報は見つからない…。私たち医療者は、そうしたご不安を共有して、なるべくわかりやすく検査や治療の内容についてご説明をして、正しい情報で皆様の不安をすこしでも軽減できたら、と思います。一緒に妊娠にむけて頑張っていきましょう。

あとは不妊治療に集中せずに、気分転換をしながら治療をすることをおすすめしています。

——仕事をしながらでも治療は可能なのですか?

もちろん可能です。不妊治療を成功させるために「仕事をやめて集中したほうが良いか?」と相談されることがあります。私は、仕事をしながらの治療をおすすめしています。ただし、ガッツは必要ですよ。

不妊治療の成功のポイントは、早めのスタートだと思います。「個人の努力と頑張り」が成功の秘訣である資格試験とは異なる点です。社会でのキャリア形成期と妊娠しやすい時期が重なるため、ついつい妊活が後回しになりがちですが、早めの不妊治療を開始が成功の秘訣です。そして仕事との両立を心より応援したいです!

——もし不妊治療に通うとなった場合に通院頻度はどのくらいになりますか?

治療の内容で通院頻度は異なりますが、週末の休みの日だけで完結することは難しいかもしれません。だたし、1回あたりの治療は1日かかるわけではなく数時間で終わります。実際、杉山産婦人科では朝8時から外来を開始しており、夜間診療もあるので、朝採血をしてから会社に行き、仕事終わってから夜間の外来にいらっしゃる方も多いです。

丸1日休みを取る必要がある日は少ないですね。しかし、通院は1日だけでなく定期的に通う必要はありますので、通いやすさや診療時間も病院を選びのポイントとなると思います。

不妊治療にとっては、時間単位での休みがとれる制度などが普及すると良いのでは、と思います。

不妊治療はいつから?ベストな開始年齢は?

人によって結婚や出産のタイミングは異なるので、不妊治療のベストな開始年齢は一律ではありません。「いつ産むか」はいつの時代も悩ましい問題です。キャリアを形成しながらゆくゆくは結婚をして、仕事も家庭も育児も両立したい、という夢を実現するためには、若いうちに妊娠に対する正しい知識を身に着けておくことが大切です。

実際にクリニックを受診されて、「もっと早く知っておけば良かった」と言う方も少なくありません。遅かったと後から後悔しないためにも、いつぐらいまでに結婚をして子供がほしいかなど目標を持っておくことが大事だと思います。

——本格的に子どもを作ろうと思って行動している段階になったとき、心配があったらどのくらいのタイミングでクリニックに相談に行けばいいのでしょうか?

不妊症は1年間子どもができなかった場合ですが、心配に思った段階で1回クリニックに相談に行くのがいいと思います。自然妊娠でいつまでいけるのか、治療が必要なのかなど早めに相談することで、「半年後まで妊娠しなかったらまた来てね」と状況にあわせてお伝えすることができます。

早めに相談をしていただければ色々なことができますので、一人で思いつめずに早めに相談に行くようにしてください。

不妊治療に年齢制限やリミットはある?

何歳以上の方は不妊治療できないといった制限はありません。しかし、現実として限界はあるので早めにとはお伝えしたいです。

またクリニックでの年齢制限はないものの、不妊検査に関する助成金は43歳未満の夫婦を対象としていますのでお金の面でも早めにということは言えると思います。

不妊の約半数は「男性」に原因がある

不妊症の原因の約半数は男性因子が関係していると言われています。最初にスクリーニング検査として行うのが精液検査です。精子の濃度や運動率、形態などを調べることは大変重要なことです。

一言で、男性因子といっても、精子が少ない、精子の動きが悪い、形が悪いなどの精子の問題から、EDなどの性機能障害まで様々なことが考えられます。

原因がはっきりしないこともありますが、しっかりと検査をして、正しい対応をする事によって、驚くほど精子の状態が良くなることもあります。

精液検査の結果が不良だった場合は、男性不妊専門外来で血液検査や、精巣の検査を行って原因をさがし、治療方針を考えます。

不妊治療にかかる費用、保険適用や助成金を解説

ここでは不妊治療にかかる費用や、助成金について解説をしていきます。

——不妊治療にかかる費用や助成金について教えていただけますか?

不妊治療は保険が適用される部分もありますが、適用外の治療や検査が多くなっています。保険の対象は相当限定された範囲となっています。しかし、東京都の場合は43歳未満の場合は助成金が支給されるなど、検査に対する助成が地域によって設けられていますので、お住いの地域の助成を調べるようにしてください。

治療費が高いから不妊治療をしない、保険が適用されないから不妊治療をしないといった声を聞くこともありますが、現在は助成金制度があるので、検討してみてはいかがでしょうか?

——助成を受けるために何か必要なことはありますか?

対象条件を満たしていることと、書類を作成する必要はあります。公の機関のホームページなどに情報が公開されていますので、確認するようにしてください。

不妊治療の治療費用の目安

不妊治療は個人個人によって治療方法が異なりますので、一概に費用をお伝えすることは難しいのですが、あくまでも一例として最短でのご妊娠例での費用の目安を紹介します。

■最短でのご妊娠例

上記の例の場合は、初診が30,000円、体外受精の排卵誘発が30,000円、体外受精の採血+診療が30,000円、体外受精が350,000円と合計で約450,000円程度、期間は約2ヶ月となります。

検査項目、治療内容、期間によって費用は異なりますので、一例として捉えるようにしてください。

参照:杉山産婦人科「初診からおひとりおひとりにあった検査・治療・妊娠まで

助成金の対象になるには

不妊に悩む夫婦への支援について国では「不妊に悩む方への特定治療支援事業」が行われており、 不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる、配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成しています。

対象者は特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された夫婦となっています。

給付内容は以下となっています。

1.1回30万円

※凍結胚移植(採卵を伴わないもの)及び採卵したが卵が得られない等のため中止したものついては、1回10万円。通算回数は、初めて助成を受けた際の治療期間初日における妻の年齢が、40歳未満であるときは通算6回まで、40歳以上43歳未満であるときは通算3回まで助成(1子ごと)

2.男性不妊治療を行った場合は30万円

※精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術

情報が更新される可能性もありますので、更に詳しく知りたい方や最新情報を知りたい方は厚生労働省の該当ページ「不妊に悩む方への特定治療支援事業」を確認するようにしてください。

また上記以外にも地域によって不妊治療費の助成事業を行っていますので、在住地域の公式ホームページや役所にて詳細を確認するようにしてください。

公式リンク

東京都:東京都特定不妊治療費助成の概要

大阪府:不妊に悩む方への特定治療支援事業について

保険適用化は2022年4月から

不妊治療等への支援については令和2年5月29日の閣議決定において「不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる不妊治療(体外受精、顕微授精)に要する費用に対する助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充する。」されています。

また、令和2年12月23日の医療保険部会決定において、「子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添い、不妊治療への保険適用を早急に実現する。具体的には、令和3年度(2021年度)中に詳細を決定し、令和4年度(2022年度)当初から保険適用を実施することとし、工程表に基づき、保険適用までの作業を進める」とされています。

(出典:不妊治療の保険適用について

具体的な工程表は以下となっています。

上記の通り、不妊治療の保険適用は方針として2022年4月から開始とされています。あくまで方針の確定に留まっていますので、最新情報については厚生労働省のページを確認するようにしてください。

リンク:厚生労働省「不妊治療に関する取組

まとめ 不妊治療のタイミングは人によって違う不妊治療は早めの相談がおすすめ

——不妊について悩んでいる方や、今後子どもを生みたいと思っている方に向けてメッセージをいただけますか?

悩んでいる方であれば1人で悩ますに、まずは1度相談しに来ていただきたいです。相談相手や信頼できる先生を見つけるという意味でも来てほしいと思っています。

今すぐにではなく、将来的に子どもを欲しい、と希望している方は、妊娠についての正しい知識を持ち、既婚、未婚に関係なく20代から遅くとも30代前半の早い時期に自分の妊娠力を把握してほしいです。不妊ドックなどを利用するのもよいでしょう。卵巣年齢などを参考に、大まかな妊娠、出産の時間的な目標を定めておくのが良いと思います。

不妊治療の成功の秘訣は、妊活のスタートを少しでも早くすることです。キャリアを積む時期と妊娠しやすい時期が重なっていることはネックではありますが、私はキャリアと妊活の両立をしてほしいと思っています。相談できる先生やクリニックと出会えれば一緒に頑張っていけると思います。

参照サイト:杉山産婦人科


杉山産婦人科新宿院の小代先生に不妊治療について丁寧に解説していただきました。どうしても辛いと悩んでしまうものですが、小代先生の話を聞いて不安なこと、治療で辛いこと、何でも一緒に解決してくださる場所なのだと前向きな印象になるお話が沢山聞けました。

夜遅くまで開院しているのでお仕事帰りでも安心して通うことができます。
不妊でお悩みの方は是非一度、杉山産婦人科に相談しに行ってみてくださいね。

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